いつでも出発できるように、
長女は、すでに保育器の中に入っていた。
たまたま向こうを向いてしまっていたので、
顔は見えない。
「赤ちゃん、触ってあげて。」
保育器の横の穴から、
恐る恐る手を伸ばして
長女の腕に、そっと手を置いてみた。
その瞬間。
私の両目から、涙が溢れ出してしまった。
産後直後の体調やメンタルに差し障ると
いう気遣いであるのは、頭の片隅では
わかッていた。
わかっていたけれど…。
ほんの数秒で、我が子から、半ば強制的に
引き離され、病室に戻されてしまった。
私の悲しみは、余計に深いものになった。
家族が増えて、
喜びに満ちる日になるはずだったのに。
いろいろな感情が入り混じって、
忘れることのできない記憶が刻まれた
一日となってしまった。
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