【 Episode34 】

やっと思いのまま、歩けるようになったのに

まるで自由を奪うかのような、コルセット。

よくある腰痛用サポーターとは、格が違う。

とにかくぶ厚い !

“どんだけ、頑丈やねん ? ” みたいな感じ。

色さえ塗れば、ほぼロボットだ。

この厳ついものを、ほぼ1日中つけなければ

ならない。

目的は、『背骨が、歪まないように…。』

確かに、上半身は、

前後にも、左右にも、曲がらない。

長女自身は、コルセットをつけることを

嫌がったり、文句を言うことはなかった。

でも、私は、

( やっと、幼稚園で伸び伸び遊べるように

なったのに、本当は窮屈だろうな…。) と

案じていた。

そして、少し動くと、汗ばむ季節に。

長女の身体に、蕁麻疹が現れ始めた。

確たる原因は、わからなかったが、

私は、コルセットの素材と装着のストレスに

よるものだと感じていた。

「 よし、決めた ! 」

長女の身体から

コルセットを外すことにした。

( せめて、幼稚園にいる時間だけでも…。)

だって、もし私が同じ立場だったら ?  と

想像するだけでも、嫌になるわけだし。

そして、実はもう一つ理由が。

かつて、主治医に宣告されたように

歩けるようになったころから

長女は、確かに太り始めた。

ということは、

体型に合わせて、コルセットも

次々に、作り変える必要があった。

なかなかの金額もするし、

病院で型取り→出来上がりを取りに行く

というループが増えることが

何より、しんどかった。

こんな親、本当なら失格だ。

案の定、“ 口先だけの自己中旦那” が

「放置して、いつか手術することに

なったら、どうすんだよっ !

痛い思い、させるのか !」

見た目は、最もなことを言っているように

聞こえる。

でも、旦那が本当に心配なのは

長女のことではない。

手術や入院で、どれだけ出費するか ?

ということだ。

自分のため以外には、浪費したくないだけ。

今、思い返しても不思議なのだが

( 大丈夫。手術することにはならない。)

妙な自信が、私の中にあった。

( そんなに心配なら、自分で面倒見たら ? )

心無い戯言に、心の中で反論しながら、

右から左に聞き流していた。

余談。

昨年末、長女が転倒して、骨折して

本当に手術したことは、

旦那の耳にも、入っているはず。

でも、自分の懐に支障がないから、

ほら !  知らん顔 …。

(続)

[ 文・絵  乃邑マヒロ ]

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