【 Side story of H 】

家族の数だけ、エピソードもたくさん。

今日は、遡って、長男の幼稚園での話。

兄妹とも、同じ幼稚園。

ゆえに、行事も同じ。

ある日、長女と次女を連れて、

お迎えに行ったときのこと。

その日に限って、他のおかあさんたちからの

視線を、やたらと感じる。

うん。気のせいではない !

その日、長男は、お芋掘りに行っていた。

「 フフフ。お土産が楽しみね〜。」

「驚くわよ〜。」

みんな、含み笑いを浮かべながら、

次々に話しかけてくるけれど、

決して、答えは口にしない。

(  一体、何のことだろう ? )

私には、さっぱりわからなかった。

数分度。

帰りのご挨拶を済ませて、長男が出てきた。

お菓子の空き箱や、牛乳パックで作った

“ 簡易虫かご ” の中は…、空っぽ。

( ??? )   ますます、迷宮入り…、

と思いきや、事実はこうだった。

他の園児が、お芋を掘り起こしているとき

長男が掘り起こしたのは、一匹のネズミ !

我が息子は、お芋はそっちのけで、

ずっとネズミを離さずに、

握っていたそうだ。

園児たちのお手伝いのために、

同行していたおかあさんたちは、ア然 !

みるみるうちに、その話は園内中に広がって

私の耳に届いた、というわけだ。

で ?  肝心のネズミは、いずこへ ?

実は、担任の先生が、根気よく、根気よく

「 ネズミのおかあさんのところへ、

返してあげよう。」と説得してくれたので、

長男も納得して、手放したようだった。

( ネズミを放したことは、おかあさんたちは

知らなかったそうだ。)

長男は、特にガッカリした様子もなく

その日の全ての出来事に、満足していた。

そして、もしも本当に

ネズミを目の当たりにした場合の、

青くなるリアクションを期待してたであろう

おかあさんたち。

でも、きっと、

「あぁ〜、容れ物どうすんのよっ !

ちゃんと自分で世話してよねぇ〜 !」

くらいで終わっただろう。

私にとっては、“ 想定内 ” のことだから〜。

[ 文・絵  乃邑マヒロ ]

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